前回の『大学入試勉強法④』では、長文を読めるようになるために必要な5つの要素を解説しました。
【長文を読めるようになるために必要なこと5つ】
①単語・熟語の暗記
②1文の精読=文法の知識を使って、1文の文構造を把握し、正確に読めるようにする
③精読の無意識化 = 文構造をいちいち書いたりせずとも、構造通りに読める
④長文を論理的に読む方法を習得する
⑤長文読解演習
今回は、②について解説していきます。
Contents
1文の精読の勉強法
前回の投稿でも解説したように、長文を得意にするためには、やみくもに長文を読んでも無意味です。
まずは1文の構造を把握した上で読めるようにすること=1文の精読 が第一歩です!
では、具体的にどのように勉強していけばよいのか、解説していきます。
間違った精読の勉強法
精読の勉強というと、『とにかく問題集をやる』という方がいますが、それでは効果がでない可能性が高いです。特に
×自己流で問題を解いて、和訳を修正して終わり
×文構造や和訳の結果を覚えるだけ
×問題を解かずに解説を読んで終わり
となってしまうとまずいです!皆さんは、以下の効果的な勉強法を実践してください!
正しい精読の勉強法
①前提知識の習得:品詞・文型・句と節 の知識をつける
まずは前提となる、品詞・文型・句と節の知識を身に着けることが大事です。
これは数学で言うところの『計算』のようなもので、構造把握する上での前提知識となるものです。
今の皆さんがどれくらい身に着いているか、確認する問題を用意しました。
どれくらい答えられるかチェックしてみてください!
【確認問題】
(1) 名詞は文中でどんな役割になる?
(2) 形容詞は文中でどんな役割になる?
(3) 次の英文の動詞の文型を答えよう。
① I found the old man a good seat. ② I found the book interesting.
(4) 名詞節を導く単語を4つ答えよう。
【確認問題 解答】
(1) 名詞は文中でどんな役割になる?
→答え:S(主語) / O(目的語) / C(補語) / 前置詞の目的語
(2) 形容詞は文中でどんな役割になる?
→答え:名詞を修飾 / C になる
(3) 次の英文の動詞の文型を答えよう。
① I found the old man a good seat.
→答え:第4文型(SVOO)
② I found the book interesting.
→答え:第5文型(SVOC)
(4) 名詞節を導く単語を4つ答えよう。
→答え:that「…ということ」 / whether「…かどうか」/ if「…かどうか」/ 疑問詞
どれくらい答えられたでしょうか…。
全然知らない…という方は、まず品詞・文型・句と節の基本を身に着けましょう!
品詞や文型は覚えなければいけないルールが多く少し大変ですが、最初にしっかりと覚えておくことで、後々の理解が格段に上がってきます。
文法の参考書の最初の方に、品詞や文型の解説があるはずです。その部分を繰り返し読み、覚えましょう。
また、次の項で紹介する参考書を活用してもよいです。
②分野別に英文の構造を把握し、正確に訳す方法を習得する。
あとは、分野別に、英文の構造を前から把握して正しく訳す方法を身に着けていきましょう。
最重要分野は、句と節=2語以上のカタマリ です!具体的には、不定詞・動名詞・分詞・関係詞・接続詞・疑問詞です!
英語が苦手な方は、単語を適当につなげて読んでしまいます。
ですが、それでは英文を正しく読めません。
そのような方は、まず『2語以上のカタマリでとらえる』ことが必須です。
またこの段階では、『正確に構造を把握し、正しく訳せるようになるためのポイント・発想を習得する』ことが重要です。
次の問題を例に解説しましょう。
【例題】次の英文を和訳しよう。
Among the audience were the President and his son.
【例題 解説】
<Among the audience> were the President and his son.
前置詞+名詞 V1 S
●正しく読む上でのポイントは、『前置詞+名詞は、セットで副詞か形容詞になる』ということです。amongは「…の中に/…の一つに」という意味の前置詞ですので、後ろの名詞とセットで副詞か形容詞になります。すると、among the audienceをカタマリでとらえます。形容詞になる場合には、前に名詞が必要なので、今回は副詞だと判断します。その後ろのwereがVです。では、その後ろのthe President and his sonはどのような役割でしょうか。
●ここで必要な知識は、『第1文型の倒置形:SV1<前置詞+名詞>→<前置詞+名詞> V1 S』という形があるということです。この形を知っていれば、the President and his sonはSであるとわかります。すると、wereは第1文型なので「いる・ある」という意味だと判断できます。
●以上から、「聴衆の中に、大統領と彼の息子がいた。」となります。
上の【例題】では、次の2つのポイントが登場しました。
①『前置詞+名詞は、セットで副詞か形容詞になる』
②『第1文型の倒置形:SV1<前置詞+名詞>→<前置詞+名詞> V1 S』
このような、英文の構造を見抜いて和訳する際のポイント、知識を覚えていくことが非常に重要です。
そうすることで、まったく別の単語が使われていても、同じ構造の英文がでてきたときに読めるようになります!
間違っても、×結果の構造や訳を覚える のではだめです!
1文の精読を習得できる問題集
具体的に、精読用の問題集を紹介していきます。
【基本レベル】
①英文読解入門10題ドリル(駿台文庫 / 著:田中健一)
:本当に基本から短文の形式で、精読のポイントを学べるドリル形式の問題集です。
文型や句と節という最重要分野を学べるようになっています。
まずは解説を読む→問題を指示通りに解いていく という手順で進めていくのがよいです。
※こんな方にお勧め:精読を全然やったことがないという方 / 英語がとにかく苦手で、まずは短い英文から始めたい方
②単語を覚えたのに読めない人のための 英文読解のオキテ55(著:宮下卓也)
:問題集ではなくわかりやすい参考書です。
精読に必要な知識を、品詞や文型の基本から少しずつ例を出しながら解説しています。
ただし、ある程度文法の基本を学んだうえで取り組むのがよいかと思います。
精読について解説してある第4章までをまず習得するのがよいでしょう。
この本の内容を身に着けた上で、問題集に取り組むとよいでしょう。
※こんな方にお勧め:文法の基本は学んだが英文が読めない方 / 精読の仕方がいまいちわからない方
【標準レベル】
①入門英文問題精講 4訂版(著:竹岡広信)
:基本~標準レベルの精読の問題集です。ポイントもわかりやすく明示されており、解説も詳しいので、最低限の文法の知識と品詞、文型、句と節の知識があれば取り組めるでしょう。
【応用レベル】
①カリスマ講師の 日本一成績が上がる魔法の英文読解ノート(著:中久喜 匠太郎)
:分野別に、難関大レベルの問題を通じて、精読のポイントを学べる問題集です。
まずは各chapterの最初にある基本事項のまとめを確認→問題を自力で解く→解説を読む という順番で進めていくとよいでしょう。
解説は大変わかりやく、『英文を正しく読む際の思考法』が詳しく書かれていますので、よく読んで自分のものにしましょう!
②大学受験のための英文熟考(著:竹岡広信)
:分野別に難関大レベルの精読問題を通じて、ポイントを学べる問題集です。
旧帝大レベルまで対応しています。
上と下がありますので、習得に時間がかかりますので早めに取り掛かりたいところです。
問題集の取り組み方:問題を解く~解説を読む
最後に、具体的な取り組み方を解説していきます。
①まずは問題を解く。その際、必ず『自分で文構造(SVOCや意味のカタマリ)を書く』
→その上で構造に忠実に『和訳を書く』ことが重要です。
×いきなり解説を読むだけ ではダメです!
②解説を読む。解説を読む際には…
『正しい構造を把握し、和訳するための知識と発想』を理解した上で『覚える』ことが非常に大事です!
③自分の書いた和訳を修正する。
が、ここで終わってはいけません!『③精読の無意識化 = 文構造をいちいち書いたりせずとも、構造通りに読める』までやって初めて、英文を読むスピードが上がります!これについては、次の投稿で解説します!